事故のケガで仕事に行けない損害賠償はどこからお金がもらえるのか、被害者にとってはとても深刻な悩みになりますよね。
本来なら得られるはずの収入が、交通事故のために減ってしまう場合、もしくは完全に仕事ができなくなり収入がゼロになってしまう人もいるでしょう。
交通事故の損害賠償は車の修理費だけではなく、ケガの治療や精神面でのストレスに対する損害賠償など色々あります。
被害者がもらえるべきものはできるだけ獲得したいところですが、自分で相手側と交渉をしても不利になる場面が出てくるでしょう。
そこで早速ですが、事故で仕事に行けない時の損害賠償の基礎知識について詳しくご説明していきます。
休業補償について
交通事故のケガや病気で仕事に行けなくなり、会社を休んで給与が減ってしまった場合には加害者の保険会社から「休業補償」と呼ばれる補てんを受けられます。
それとは別に労働災害補償保険法に基づいて一定の補てんを受ける「休業補償給付」というものがあります。
どちらも休業補償ではありますが、内容が異なりますのでそれぞれの特徴について正しく理解しておきましょう。
損害賠償としての休業補償
交通事故で仕事ができず収入減となったものを、損害として加害者側に賠償請求するものです。休業損害とも呼ばれ、民法や自賠責補償法が対象になります。
労災からもらえる休業補給付
休業補償給付と呼ばれるものは、労災保険上の休業補償で
・業務上の事由や通勤中に起こった負傷や疾病の療養、
・労働ができない
・賃金がもらえない
という3つの条件を満たした場合に第4日目から給付金の支給がされるものです。
給付を受けるのは、4日目以降で最初の3日目までは労働基準法により会社が休業補償を行うと定められています。
休業補償は労災保険や労働基準法に基づいて支給される点が、損害賠償との一番大きな違いになりますね。
休業損害は損害賠償のひとつ
交通事故はケガをはじめ車の破損など様々な損害が発生しますので、なにを誰に請求すべきなのかわからないことも多いですよね。
休業損害というものは加害者側に被害者が請求する損害賠償のなかのひとつ、交通事故が起きた時の損害は財産的損害と精神的損害というものがあり、休業損害は財産的損害と見なされます。
さらに財産的損害には積極損害と消極損害と呼ばれる二つがあり、交通事故で支出が必要になる治療などは積極損害、休業損害のように本来得ることができたはずの失った利益が対象となります。
しかしすべての人が休業損害をもらえるわけではなく、以下の方たちは休業損害はもらえません。
・学生
・生活保護受給者
・不動産オーナー
主婦の休業補償について
専業主婦で家事だけを行う人は給与をもらっていませんので、休業補償の対象にならないと諦めてしまう人もいるようです。
しかしここで知っておかないと損するのは、専業主婦や家事従事者は給料をもらっていなくても、交通事故のケガにより家事ができなくなればほかの人が代行しないといけません。
このような状況が発生するために、専業主婦も休業損害の対象になります。
休業補償の算出方法
原則的に休業補償は実際に仕事を休んだ分が補償対象になりますので、一日当たりの収入や休業日数で休業補償が算出されます。
休業日数はすべて仕事を休んだ日が対象にはならず、症状固定までの間に休業した日数が基本。
では給料をもらっていない主婦の場合ですが、基礎収入額として「賃金センサス」という統計を基に平均賃金をベースにして算出されます。
休業補償で注意したい点について
休業補償があるからいつまでものんびりできると油断すると後が大変。そこで知っておくべき休業補償の大切なポイントについて見ていきたいと思います。
全額請求はできない
休業補償は全額請求できるワケではありません。通勤中の交通事故の場合は労災申請をして休業補償給付を受けることができます。
労災で6割の補償がされたら、残り4割分を休業補償として請求が可能になります。そのため違うところに請求をして、二重取りはできない仕組みになっているのです。
また通院中や入院している間に、勤務先から給与が支払われた場合も対象にはなりません。
無職の場合
本来は事故で仕事に行けない人の損害賠償として休業補償がされますが、交通事故にあった時に失業中や無職であった場合は原則として休業損害は認められません。
しかし仕事をする可能性がある場合は休業補償が認められる可能性もありますので、その場合は書面(仕事をする意欲があった、就職先が決まっていた、仕事をする能力があったなど)で証明する必要があります。
休業補償が請求できる場合とできない場合の対処
被害者が加害者に事故で仕事に行けないための損害賠償をするのは、以下のようなケースがあります。
・トラックの運転手がけがで運転が困難になる
・手や指のしびれにより事務作業やタイピングが困難になる
・医師から通院やリハビリが必要と指示された場合
・頭痛が激しく仕事に集中できないなど
これ以外にも休業補償の請求ができるケースは色々ありますが、仕事を休むことを余儀なくされたことを証明するためには医師の診断がないと、加害者側が納得しない場合があります。
このよう場合には主治医と相談して就労困難であることを説明する、診断書にはっきりと記録してもらうなどの対処を取ってもらうことが大切です。
また書類の不備により正当な休業補償が受けられないケースもありますので、このような場合は交通事故に強い弁護士に相談してみましょう。
まとめ
労働者のための休業補償給付は、あくまでも労働災害や通勤災害に対応するものですから、主婦や無職の方は利用ができません。
しかし交通事故で被害者になった場合は休業損害だけでなく、精神的な苦痛に対する損害補償などあらゆる角度から請求することが可能です。
そのためには専門知識が必要になりますので、交通事故の休業損害を多く取り扱う弁護士や実績の多い弁護士を選び、まずは無料相談で問い合わせてしてください。
交通事故で仕事に行けない状況は、休業損害の他にも色々と得られるものがあるでしょう。
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